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ispaceの月探査プロジェクト「ミッション2」のランダー打ち上げ成功、無事予定軌道へ

RESILIENCEランダーがロケットから分離される画像(Space Xのライブ配信より)

ispaceは、民間月面探査プログラム「Mission 2 “SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON”」(ミッション2)用の月着陸機「RESILIENCEランダー」が2025年1月15日に打ち上げ、分離を成功させた。同日中には安定航行も確立し、1月17日には初回の軌道制御マヌーバを成功させた。

RESILIENCEランダーは2025年1月15日に午後3時11分(日本時間:以降も同様)に、ケネディー宇宙センター(米国フロリダ州)から、Space XのFalcon 9により打ち上げられた。同日の午後4時44分にはロケットから分離された。さらにispaceの管制室との通信を確立し、ランダーの姿勢の安定と、軌道上での安定した電源供給の確立を確認した。

同年1月17日の午前4時40分には、地球から25万kmの地点でおよそ16秒間メインエンジンを噴射し、初回の軌道制御マヌーバを実施。RESILIENCEランダーを予定軌道へ投入するとともに、主推進系および誘導制御系の動作の確認した。現在もRESILIENCEランダーは地球周回軌道上を航行中だ。

ミッション2のマイルストーンとして、Success 1(打ち上げ準備の完了)からSuccess 10(月面着陸後の安定状態の確立)までの10段階が設定されている(以下の図)。

 ミッション2のマイルストーン ミッション2のマイルストーン

RESILIENCEランダーは、2024年11月に米国フロリダ州に輸送され、射場付近の施設内にてロケットのフェアリング(ロケット最先端部のペイロードを搭載する部分)への搭載作業を実施。2025年1月14日時点で、RESILIENCEランダーの全ての開発工程を完了し、Falcon 9ロケットへの搭載も完了させていた。

2025年1月17日の時点においてはSuccess 4「初回軌道制御マヌーバの完了」まで到達したことになる。今後は、Success 5に設定されている「月フライバイの完了」を行い、低エネルギー遷移軌道に入る計画だ。

ミッション2のRESILIENCEランダーには、以下のペイロードを搭載し輸送している。

  • HAKUTO-Rのコーポレートパートナーである高砂熱学工業の月面用水電解装置
  • ユーグレナ社の月面環境での食料生産実験を目指した自己完結型モジュール
  • 台湾の国立中央大学宇宙科学工学科が開発する深宇宙放射線プローブ
  • バンダイナムコ研究所の「GOI 宇宙世紀憲章プレート」
  • ispaceの欧州法人ispace EUROPEが開発したマイクロローバー「TENACIOUS」
  • スウェーデンのアーティストによる赤い小さな家「ムーンハウス」

上記のペイロードの他に、人類の言語と文化遺産を保護したユネスコのメモリーディスクも搭載した。

ispaceは、今回のミッション2に続いて、2026年にはispaceの米国法人が主導するミッション3を順次実行予定だ。また、2027年には現在日本で開発中の「シリーズ3ランダー(仮称)」を用いたミッション6を予定している。

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