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ガラス上で稼働し、美観を損ねない透明な太陽電池——接続部や配線の問題を克服

韓国の蔚山科学技術大学校(UNIST)の研究チームは2024年9月11日、透明な太陽電池を使用して建物や自動車の窓、モバイル機器の画面などのガラス上で発電する技術を発表した。

透明な太陽電池(TSCs:Transparent solar cells)は、継続的に稼働する給電装置として大きな可能性があり、従来技術では困難とされた状況でも発電が可能になると期待されている。しかし、実用化に向けた重要なステップとして、TSCsの発電動作における電圧と電流を制御する機能をモジュール化する技術が必要だが、その研究はまだ初期段階にある。

研究チームは、ガラスのような透明結晶シリコン(c-Si)の太陽電池とシームレスモジュールの製作を目標に、すべての電気接点を裏面に配置するカスタム設計、「オールバックコンタクト(ABC)」構成を着想した。ABC構成の強みには、太陽電池の電力変換効率(PCE)が高いだけでなく、透明な太陽電池モジュールが視界を遮らないという美観もある。

従来、太陽電池セルのモジュール化の技術課題は、デバイス間の隙間と金属ワイヤーが美観を損なうという点があった。研究チームは、金属ワイヤーを使用せずにデバイス間の隙間をなくす「シームレスモジュラー化技術」を開発し、この問題を解決した。

今回、研究チームが開発したABC構造の透明c-Si太陽電池は、透過率20~14.7%の高効率を確保しつつ、ピーク電力変換効率15.8%を達成した。単体のセルをシームレスに相互接続することで、出力を系統的に調整できる。この結果、1平方センチメートルのユニットセルの場合で、出力電圧0.64Vと電力15.8mW、16平方センチメートルのモジュール構成で10.0Vと235mWが得られた。

さらに、自然太陽光によるスマートフォンの充電にも成功し、携帯端末の画面をエネルギー源として利用できる可能性も示した。

本研究を率いたUNISTエネルギー/化学工学部のKwanyong Seo教授は、透明シリコン太陽電池の商業化に不可欠なモジュール化について、新たな道を開いたと説明した。また、同技術が将来のエネルギー産業のキーテクノロジーとなるよう、さらに研究を続けると付け加えた。

同研究成果は、2024年8月7日発行の米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。

fabcross for エンジニアより転載)

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