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太陽光と空気、一般的な化学薬品によってプラスチックを分解する技術を発表

PHOTO: UNSW - Maxime Michelas and Cyrille Boyer

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW)の研究チームは2024年8月9日、太陽光と空気、一般的な化学物質だけで、ポリスチレンを含むさまざまなプラスチックを分解する技術を発表した。この技術の特徴は、室温で機能することと、溶媒に溶かしたプラスチックを安価で広く入手可能な三塩化鉄(別名、塩化第二鉄)と光、および酸素にさらすことにより分解する点だ。

電気を使って同様の反応を試みた既存の研究では、電極、共溶媒、共開始剤、共触媒などの多様な装置を必要とする複雑性や、限られた範囲のポリマーしか分解できないといった制約があった。

研究チームは本研究により、ポリ塩化ビニル、一般的に塗料などさまざまな製品に使用されるポリ(メタ)アクリレート、ポリ酢酸ビニルなど、処理できるポリマーの範囲を広げることに成功した。プラスチック分解のプロセスは、まずポリマーを溶媒で溶解し、その溶液を三塩化鉄と光源にさらすことで進行する。研究チームはまず、純酸素で制御された環境で薄暗い紫色の光を使用した。分解プロセスの開始と停止は紫色の光源の代わりに太陽光を使用した。一方、テスト環境を大気中に置いた場合でも分解プロセスは想定通りに進行したが、そのスピードは少し遅くなった。

本研究の分解プロセスが有効なポリマーは、一般的な排水管に使われているポリ塩化ビニル(PVC)や、化粧品/医薬品に広く使われるポリエチレングリコールなどだ。7種類の特徴的なポリマーを30分以内に90%分解し、3時間後には97%まで分解する結果を得た。分解されたポリマーは、非常に単純な有機化合物(アセトンなど)になる。これらの分子はバクテリアによって分解させて、環境から完全に除去することができる。また、新しいポリマーを作るための原料として再利用することも可能だ。

ただし、現在のプロセスは環境には優しいものの、ポリマーを溶媒で溶かす必要があり、これが制約となる。つまりこのシステムは、水との互換性がない。研究チームの見解では、もし水中でもこのプロセスが機能すれば、廃水に含まれるプラスチックやマイクロプラスチックを分解して小さな有機化合物を形成し、バイオリアクターを使ってバクテリアに消化させることができるという。

研究チームは、プロセスをできるだけシンプルにすることで、溶媒をまったく使わずにポリマーを分解する方法も模索している。

fabcross for エンジニアより転載)

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