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従来の燃焼エンジンに代わり得る、100%水素で作動する重量10kgの小型エンジン——部品数20個でメンテナンスも最小限

イスラエルのAquarius Enginesは、2021年5月18日、燃料電池を必要とせず、100%水素で作動する重量10kgの小型エンジンを発表し、テストに成功したと明かした。

現在、世界中の政府が脱化石燃料に向けて準備を進めている。そこで同社は、2014年から「Aquarius Engine」を開発してきたが、当初は水素だけでは作動しなかった。

今回、世界的に有名なオーストリアのエンジニアリング企業であるAVL-Schrickによる第三者テストで、Aquarius Engineの改良版が、完全に水素で作動することが実証された。重さ10kgのこの小さなエンジンは、特許取得済みである同社のシングルピストン・リニアエンジンと同じ技術をベースにしているが、水素のみで作動するフリーピストン・リニアエンジンとなっている。

10kgのAquarius Engineは、自動車の車載用発電機、あるいは独立型発電機として使用するために設計されている。何百個もの部品で構成されている従来の大半のエンジンとは異なり、Aquarius Engineはわずか20個の部品と1つの可動部で構成されている。軽量で流線型の設計により、従来のエンジンに比べて安価かつ高効率であり、さらにメンテナンスをあまり必要としない。

水素で動作する新しいAquarius Engineの軽量設計と独自の内部ガス交換方式は、排出ガスを大幅に削減し、世界の二酸化炭素排出量を低減するとしている。

現在、Aquarius Enginesの技術は世界中で20件以上の特許が登録済みだ。同社は、イスラエル、ドイツ、ポーランドに製造開発拠点を置いているが、2021年4月時点で日本に子会社の設立を進めているところだという。また、2021年1月には本田技研工業(ホンダ)の関連会社である武蔵精密工業との戦略協働契約締結、2021年4月には日本の自動車部品メーカーであるTPRとの事業提携に向けた合意書(MOU)締結を発表している。

fabcross for エンジニアより転載)

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