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石炭灰廃棄物の中に隠された膨大な量のレアアース

米テキサス大学は2024年11月19日、同大学とワイオミング大学などの共同研究チームが、アメリカ全土に積み上げられてきた石炭灰に、必要量を補うだけのレアアース(希土類元素)が十分に含まれていることを明らかにしたと発表した。

レアアースは、ソーラーパネルや風力タービンの永久磁石、電気自動車、バッテリーなど、低炭素社会のための多くの産業にとって必要不可欠な17の元素だ。

現在、主要なレアアース産出国は中国であり、産出量世界第2位のアメリカも中国からの輸入に頼っており、複雑なサプライチェーンと地政学的緊張下にある世界の潜在的な問題となっている。

研究チームは、アメリカでの石炭灰資源からのレアアース抽出の可能性を推定するために、さまざまなデータベースを使用し、石炭灰の資源と処分の時空間変動と灰中のレアアース量を分析した。

その結果、1985年から2021年までにアメリカで生産された石炭灰の約70%が、埋立地や池、敷地外の貯蔵庫に貯蔵されており、レアアースの抽出に利用可能であることがわかった。研究チームは、アメリカ国内の入手可能な石炭灰には、国内保有量の約8倍に当たる1100万トンのレアアースが含まれると推定している。つまり、入手可能な石炭灰から84億ドル(約1兆3158億2000万円)相当のレアアースが抽出できるという。

鉱物/金属廃棄物から重要鉱物を抽出するElement USAの最高戦略責任者であるChris Young氏は、同研究は石炭灰の資源としての大きな可能性を示していると説明した。

同研究成果は2024年9月17日、「International Journal of Coal Science & Technology」誌に掲載された。

fabcross for エンジニアより転載)

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