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有害物質は不要、水でフォトリソグラフィーを可能に——微細加工技術を環境に優しく

Photo courtesy Tian lab

米シカゴ大学は2024年8月28日、同大学の研究チームが、水を使用した持続可能な微細加工技術を開発したと発表した。センサーや医療用デバイスなどの微細加工への応用が期待される。

微細加工技術は、コンピューターチップや医療機器などに不可欠な微細な構造を作成する技術だ。例えば、家庭用向け電子機器の集積回路を製造するのにフォトリソグラフィーと呼ばれる技術が使われている。しかし、このような微小なパターンを作り出す技術は、環境に有害で廃棄が困難な化学物質を使用している場合が多い。

研究チームは、従来の有害物質の代わりに水を活性化剤として使用する、環境に優しい微細加工法を開発した。この技術は、塩を利用した光化学合成プロセスを新たにアレンジしたもので、レーザーを使用して紙などの天然素材にパターンを作成し、それを水で簡単に転写できる。水が微細なパターンを基材から穏やかに、かつ効果的に分離するのだ。この手法では、パターン化されたデバイスの転送に要する時間は1秒未満であり、従来の技術をはるかに上回る速さで剥離する。このプロセスは、ヤモリが壁に張り付いたり離れたりする様子を模しているという。

研究チームは、この技術を用いてセルロースを導電性の炭素に変換するプロセスを改良した。さらに、その炭素の表面を精密に調整し、シミュレーターを使用してナノスケール材料の反応を効率的に促進することで、高度なセンサーを作り出した。

研究チームはさらに、この手法を迅速化し信頼性の高いものにするために、レーザーを用いた書き込みとパターン転写を自動化する装置「Roll-to-roll Laser Writer」を開発した。この装置は、シリコンチップのような極めて高い精度を必要としないものの、高い機能性が求められるデバイスに特に有用だ。例えば、医療検査用の安価で使い捨て可能なセンサーやウェアラブルデバイスなどへの活用が期待される。

研究チームのメンバーは、「私たちの設計により、心臓や神経の刺激や感知に使用される極薄の医療機器の製造効率が向上する」と述べた。研究成果は、2024年7月10日付で『Nature Sustainability』に掲載された。

fabcross for エンジニアより転載)

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